ファミリーキャンプで、使い勝手抜群で大人気の2ルームテント。
かなりの大きさなので、ビギナーには不向きそうに見えるけれど、実際のところはどうなの?
2ルームテントで100泊以上している経験から、メリットとデメリット、及びドームテント+スクリーンタープとの違いを、徹底解説。
2ルームテントってなんなの?
近年、あちこちのキャンプ場で目にするようになった、2ルームテント。
荷物をコンパクトにする工夫が求められるキャンプにおいて、あれだけ巨大であるにもかかわらず、ユーザーが多いのは、
「それだけ便利なキャンプギアだから」
という明確な理由があります。
2ルームテント=テント+タープ(スクリーンタープ)
そもそも、2ルームテントとは、何なのでしょうか。
キャンプでは、テント+タープの組み合わせが基本となります。
以下記事で詳しく解説していますが、テントは、快適に眠るためのシェルター。
タープは、野外で安心・安全に過ごすための屋根です。
また、タープには、「スクリーンタープ」という種類もあります。
これは、網戸で囲われた部屋を作れるイメージ。虫の侵入をある程度防ぐことができます。
2ルームテントは、機能的に見ると、テントとタープ(またはスクリーンタープ)が一体化したもの、と考えることができます。
つまり、テントとタープ(またはスクリーンタープ)を、別々に設営する手間が必要ありません。
2ルームテント1つさえあれば、寝床も、リビングスペースもまかなえてしまう、というわけです。
2ルームテントの4つのメリット
それでは具体的に、2ルームテントのメリットを見ていきましょう。
1. 設営の手間が少なく、シンプル
まずは、テントとタープをそれぞれ設営するよりも、2ルームテント1つを設営するだけのほうが、時間がかからない(または大差ない)という点が挙げられます。
同時に、テントとタープの設営方法は、まったく別。
ですが、2ルームテントであれば、1種類の設営方法さえ覚えればいいだけ、という点でも、ビギナーには有利です。
テントとタープを連結させて張ろうとする場合には、ペグを打つ位置の微調整に、ある程度の経験(ビギナーの場合は試行錯誤)が必要になります。
大きな1つのキャンプギアである2ルームテントであれば、このような苦労は発生しません。
見た目の巨大さから、初心者ほど尻込みしてしまいがちな2ルームテント。
大きい分シンプルである、という点は覚えておいていいでしょう。
2. 有効面積が広く、寛げる
2ルームテントは、巨大な一つの空間です。
寝室となるインナーテントは、空間の一部に吊り下げ式となるケースが大半。
それ以外の広大なスペースを、自由に使うことができます。
2ルームテントと、ドームテント+スクリーンタープの違い
ドームテントと、スクリーンタープを、連結して使用する場合、外見は2ルームテントと似たような広さに見えます。
いったい、どこが違うのでしょうか。
2ルームテントは、テントというよりも、大きな一つの空間としてデザインされています。
ですので、寝室スペースは必要最小限であり、リビングスペースを広く取れるように最適化されており、使っていてストレスを感じにくい設計です。
一方で、ドームテントは、スクリーンタープとの連結を考慮されているとはいえ、“連結するために作られている” というわけではありません。
ドームテント単体では、大人が立って着替えができる背の高さ、荷物があってもゆったりできる広さが意図された、余裕のある寝室スペースです。
スクリーンタープと連結して使うと、どうしても寝室スペースとリビングスペースのバランスに、ゆがみが出ます。
ドームテント+スクリーンタープのメリット
逆に、ドームテント+スクリーンタープのメリットもあります。ドームテント、スクリーンタープ単体で使用でき、様々に応用がきく、という点です。
「今回はキャンプ場に屋根があるから、ドームテントだけでいい」
というケースなら、ドームテントだけをもっていけば済み、大きな荷物削減になります。
また、ドームテント+ヘキサタープとしての使用や、友人のスクリーンタープと連結させて大きな空間を作るなど、様々なシチュエーションにも対応できます。これは2ルームテントではできません。
3. 安心感が桁違い
2ルームテントにも、必要最小限の品質でリーズナブルなもの(例:カマボコテント2、タフスクリーン2ルームハウス等)と、高価だけれどクオリティの確かなものとあります。
特に、後者の2ルームテントは、アウトドアメーカー各社が、フラッグシップ、またはそれに準ずる製品として、非常に力を入れて作られています。
フルクローズすると、風雨をシャットアウトできます。地面が川のようにならない限りは、浸水の心配はありません。
土砂降りの雨でも、内側は完璧にさらさらに乾燥したまま。
また、強風にもとても強い構造です。きちんとペグ打ちをしていれば、常識的な範囲の風であればビクともしません。
私は、それまでドームテントとヘキサタープを使っていて、はじめて2ルームテントを使ったとき、キャンプをしているとは思えない安心感に、ほとんどインチキだとすら感じたほどです。
キャンプ・アウトドアの経験が浅い、ビギナーであるほど、高品質な2ルームテントの安心感を心強く感じるはずです。
4. スクリーンタープに比べてスタイリッシュ
専用設計されているハイクオリティな2ルームテントは、やはり一切の無駄が省かれており、機能美も追求され、非常にスタイリッシュです。
ドームテントに後付けする思想のスクリーンタープは、どことなく違和感を覚える方が少なくないはずです。
2ルームテントか、ドームテント+スクリーンタープか、迷っているのであれば、一度実物を見てみて、心から気に入るかどうか確かめてみるのは、よい方法です。
2ルームテントのデメリット
続いては、2ルームテント特有のデメリットについて、解説していきます。
1. 重くて取り回しが大変
1枚の布としてみたとき、非常に大きいため、単純に重くなります。
仮に、総重量がドームテント+スクリーンタープと同じ水準だとしても、それが1枚の布なのか、別々の布なのかによって、取り回しの労力は大きく変わってきます。
これは、ハイクオリティな2ルームテントほど不利な傾向です。布が厚く、重量がより重くなるからです。
2. 二人以上でないと設営がむずかしい
重く、大きいため、設営は2人以上が推奨されます。
特に、一部の大型テントは、天井高が2m以上にもなります。
テントの種類にもよりますが、
- 一人に支えてもらいながらポールを立てる
- スリーブに押し込んだポールを反対側で受け取ってもらう
などなど、複数人のほうがスムーズにいく場面が、少なからずあります。
各社、設営方法については工夫を凝らしており、意外にシンプル。組み立て方が難しいわけではありません。
けれども、重く、大きいがゆえに、労力が必要になる部分は、間違いなくあります。
3. 狭いサイトでは使えないケースも
国内最大級のコールマン「ウェザーマスター(R)ワイド2ルーム コクーンⅡ」の場合、設営するためには、横幅5m、長さ8〜9m(キャノピーポール用のロープ含む)程度のサイトスペースが必要になります。
2ルームテントの大きさによっては、有効スペースの狭い場所では、注意が必要です。広いキャンプ状でも、サイト内に立ち木がある場合など、制約を受けることがあります。
4. 乾燥・メンテナンスの手間が掛かる
2ルームテントユーザーが、口を揃えて大変さを語るのが、雨のキャンプのあとのメンテナンス(乾燥)です。
濡れたまま放置しておくと、カビたり、臭いがついたりしてしまいます。収納前に乾燥させておく必要があります。
しかしながら、2ルームテントは巨大。都市部では、設営して干す場所はなかなかありません。
ぶら下げて干すにしても、マンション・アパートでは厳しいケースが多いはずです。
2ルームテントを干せる場所、スペースがあるか、必ず確認しましょう。
また、2ルームテントは、収納時でも、かなりの大きさになるケースが大半です。
収納場所があるかも、合わせて確認しておきましょう。