コンテンツへスキップ
ホーム » 新型コロナウイルス禍でキャンプは大丈夫? リスクを避ける家族キャンプ 5つのチェックポイント

新型コロナウイルス禍でキャンプは大丈夫? リスクを避ける家族キャンプ 5つのチェックポイント

三密を避けられるアウトドアは、新型コロナウイルス禍でも安全だと考えられがちですが、実際はその場の環境・状況により、リスクは大きく左右されます。

のべ1,000名を超える親子をアウトドアに連れ出してきた「はじめての親子キャンプ教室」インストラクターが、コロナ禍の中でキャンプのトライアルを重ねた経験から、安心できるファミリーキャンプにするための、リアルな情報をお届けします。

新型コロナ対策はできるが、親子キャンプ教室を休業している理由

こんにちは。親子キャンプ.com 編集長の寄金(よりかね)です。

私たちが提供する「はじめての親子キャンプ教室」は、新型コロナウイルスの蔓延を受け、2021年11月まで休業していました(※)。

なぜなら、トライアルを重ねた結果、リスクを避けたキャンプ教室の運営も可能ではあるのですが、それでは “らしさ” を担保できない、という結論に達したためです。

私たちが大切にするのは、子どもの「やりたい!」という意欲。焚き火も、のこぎりも、ペグもハンマーも、やりたいようにやっていい場を作っています。

怪我の危険は当然あります。そこで、怪我も学びの一つである、というスタンスに同意いただける方にのみ、参加いただく仕組みです。

しかしながら、新型コロナウイルスのリスクをゼロに近づけるには、「あれもダメ、これもダメ」というルールにせざるを得ません。居合わせた子ども同士で遊ぶのすら、禁止せざるを得ません。

そこまでして親子キャンプ教室を実施したいのか、と考えたときに、譲れないものを犠牲にすることはできないとの経営判断から、休業を決断しました。

同じように、各家庭ごとのファミリーキャンプでも、今までとは違って注意しなければならないことが出てきており、どこまで許容するのかを検討してみる必要があります。

一口にキャンプと言っても、それぞれ、大切にしたいものがあるはずですから、満足のいく家族キャンプができるかどうか、ぜひチェックしてみてください。

※リスクと “らしさ” のバランスをとり、2021年11月より営業再開しています

1. 区画に余裕のない状況のキャンプ場は避ける

アウトドアフィールドは三密を避けられるとは言っても、他人との距離が近くなってしまう状況は、避けなければなりません。

たとえば、必要最小限の広さしかない区画サイトが、長屋のようにずらっと並んでいるようなキャンプ場では、ほとんどのサイトが埋まった場合に、かなりプレッシャーを感じる状況になってしまう可能性があります。

過去にそのキャンプ場でキャンプをした経験がある場合は、十分なプライベート感があったかどうかを思い出してみてください。

はじめてのキャンプ場の場合は、キャンプサイトの区画図を必ずチェックし、どのようなスタイルのキャンプ場なのか、必ず確認しましょう。

なお、狭い区画サイトのキャンプ場でも、利用できるサイトを間引きして定員を減らし、密を避けられるように対応しているキャンプ場もあります。単に区画の大きさだけではなく、キャンプ場側の対策も含めて判断してください。

2.広さに関係なく、混雑しているところへは行かない

区画の狭いキャンプ場を避ければ万事解決かというと、そう簡単ではありません。なぜなら、どんなに広く開放的なキャンプ場でも、水場やトイレは、多くの人で共用することになるからです。

一般的にキャンプ場は、設備投資に大金をかけられない(あるいは、かけない思想である)場合が多く、サイトがキャパシティいっぱいになると、水場やトイレは混雑する傾向があります。

すなわち、そこにいる人の絶対数が多ければ、どんなに広いキャンプ場でも、リスクは高まると考えるべきです。

こうした視点で考えると、

  • 人気キャンプ場、有名キャンプ場は避ける
  • 首都圏近郊のアクセスのよいところは避ける
  • 土日は避けて、平日に利用する

という対策を、個人レベルで検討する必要が出てきます。

「ここなら近いし、気軽にキャンプができそうだな」という場所は、みんなが同じように思っていると考えましょう。

たとえば、キャンプ場検索サイトで探す場合に、ランキング上位ですぐに予約が埋まってしまうところは、混雑しているだろうと想定する必要があります。

もちろん、密を避けるために定員を大幅に減らしており、そのせいで予約が取りにくくなっているキャンプ場もありますので、ホームページなどで状況をよく確認するようにしましょう。

Twitterなどソーシャルメディアで、混雑状況についての口コミがないか探すのも効果的です。

3. グループキャンプはしない

家族だけで過ごすなら、注意すべきポイントはかなり減る

厳密に言えば、グループキャンプが不可能というわけではありません。

1つは、キャンプギアの共用を一切せず、食事を別々に取り、お酒を飲むときは焚き火を囲んで2m以上離れるなど必ず距離をとり(自制して喋り)、子ども同士の接触を伴う&近い距離での遊びを徹底して避けるやり方です。

幼児では、行動制限を守らせるのは難しいですが、小学校高学年以上ともなれば、実現できる場合もあるでしょう。

ただこの場合、単独でならばもっと気軽に過ごせるのに、こんなに神経を尖らせてまで、本当に一緒にキャンプに行かなければならないのか、よく考える必要はあります。

もう1つは、グループ全体で感染を(やむなく)許容する方法です。

子どもから40代くらいまでで、基礎疾患のない健康な人であれば、仮に感染したとしても、リスクはそれほど高くない事実がわかってきました。

注意しなければならないのは、感染した場合、自身の健康の問題だけではなく、他人にうつしてしまう可能性がある点です。

祖父母など高齢者、基礎疾患のある人など、リスクの高い層と同居していないのはもちろん、会う機会を意識して避ける必要があります。

もしこのような条件が整っているのであれば、グループ全員で、感染のリスクがある事実を認識し、明確に合意をして、その上で実施するという考え方もあるでしょう。

この場合、絶対に避けなければならないのは、はっきりとした合意をせず、なんとなく大丈夫だろう……といった雰囲気で、なし崩し的にキャンプを強行してしまうケースです。

4. 受付、買い物、外食、温泉……ピークを意識して避ける

キャンプをしていて、他人との距離が気になる場面はごく一部に限られるため、「少しくらいならいいか……」と考えてしまいがちですが、これでは意味がありません。

リスクのある場面が限られているからこそ、意識すればそういったタイミングを避けられるのがキャンプなどアウトドアアクティビティの良いところなわけですから、徹底して回避しましょう。

一つは、受付や売店、水場など、キャンプ場の施設を利用する場合です。きちんとキャパに余裕を設けているキャンプ場であれば、混雑していても一時的なもの。時間をずらして対応しましょう。

また、レストランやフードコートのような、キャンプ場内や周辺の飲食施設ですが、こちらは食事時が混雑するという傾向は確実です。12-13時は避け、11時台や、13時以降に利用するなど、計画的にオフピークをして避けましょう。

温泉施設についても、寝る前にお風呂に入るという習慣の方は多いですから、夕食後〜就寝前の時間帯が混雑するはずです。日中や、夕方前などを狙うことで、安心できる状況かつ快適に入浴ができるはずです。

5. 手洗い/消毒を徹底する

遊具にも注意が必要だ。

新型コロナウイルスの流行から2年以上が経ち、子どもたちも、マスクの着用には、慣れてきているかもしれまん。

ただ、子どもの場合、難しいのが、あちこちを触らないようにするということです。

大人である私たちは、たとえば、手すりや、ドアノブは、たくさんの人が触り、ウイルスがある可能性の高い場所だと知っており、そのあとに手洗いや消毒をしなければならない、という頭があります。

ところが子どもは、用事がなくても、あちこちをなんとなく触ってみたり、ぶら下がって遊んでみたり、という行動をするのが普通です。そして、どこがリスクが高く、どこがそうではないのか、という判断も難しいでしょう。

ですので、広くて開放的なキャンプ場と言えども、親がしっかりと、触って大丈夫な場所とそうでない場所を判断し、必要に応じて手洗いや消毒をしっかりとさせる必要が出てきます。

これはキャンプ場に限らず、学校でも、スーパーやショッピングモールでも、電車やバスでも同じですが、人が多くいるところは、それだけイレギュラーに出会う可能性が高まり、リスクは増すのでより注意しなければならないと認識しておくべきです。

新しいキャンプスタイルを探そう

新型コロナウイルスの流行により、これまでの「これがキャンプだよね」は、通用しなくなりました。

開放的なアウトドアフィールドだから安全というわけではなく、むしろ、ファミリーキャンプやグループキャンプは、豊かな自然の中での、人と人の交流が肝と言ってもいいでしょう。人と人の距離が縮まる以上、リスクは存在するのです。

少なくとも、2〜3年は、リスク管理をしなければなりません。ワクチンや、変異種の登場など、状況によっては、もっと長い期間、このままなのかもしれません。

元に戻ることを期待していると、子どもの成長の機会を逃してしまうことだってあるでしょう。

慣れないうちは、どこへ行っても神経を尖らせなければならず、労力がいりますが、いちど慣れてしまえばこっちのもの。この状況に対応した、自分たちのキャンプのやり方を探しましょう。

著者プロフィール

寄金 佳一親子キャンプ.com編集長
一般社団法人asobi基地ユニバーシティ 代表理事/asobi基地・関東 アウトドア部 部長/Webメディアディレクター/コンスタントに年間30泊のキャンプを始め、アウトドアフィールドで年間100日近くを過ごす。ファミリー&子どもの引率経験は、のべ2,200名以上。二児の父。