キャンプギアの基本中の基本と言える、テントとタープ。
たくさんの製品がありますが、どのような基準で選べばいいのでしょうか。
「はじめての親子キャンプ教室」インストラクターが、テントとタープの役割、基本的な考え方、選ぶ際の検討ポイント、おすすめのテント&タープの組み合わせを、徹底解説します。
テントの役割:快適に眠るためのシェルター
テントは、第一に、野外で、風雨や寒さから身を守り、快適に眠るためのシェルターとしての役割があります。
また、着替えをする更衣室であったり、荷物を汚れから守る物置であったりもします。
大きめのテントの場合は、リビングとしての使い方もできます。
タープの役割:野外で安心して過ごすための屋根
タープは、強い陽差しや、風雨を避け、野外で安心・安全に過ごすための屋根です。
真夏の炎天下では、テント内は高温になるため、日中に陽差しを避けるためにタープが必須となります。
また、雨天時には、雨よけになります。さらに炊事をするキッチン、食事をするダイニングとしての、重要な役割があります。
(テントは寝室であり、寝具や衣類などがあるため、中で炊事や食事をするのは、汚してしまうリスクを考えると、特に子どもがいる場合、困難です)
基本装備はテント+タープ、または2ルームテント
キャンプでは、以上のように、テント+タープの設営が基本となります。
熱中症を予防したり、急な天候の変化に備えたり、雨の中のキャンプに対応したりするためです。
また、近年、大型の2ルームテントが増えています。これはテントとタープが一体化したものと考えてください。
一見、大きいテントは、ビギナーには向いていなさそうに見えます。しかしテントとタープを別々に設営する労力を考えると、手間という意味では大差ありません。
参考:コールマンの大型2ルームテント「コクーンII」で100泊以上! メリット&デメリットまとめ(キャンプ情報メディア「LANTERN」への寄稿記事)
テント選びの3つの検討ポイント
①就寝可能人数
真っ先に考えるべきは、テントの大きさ(何人が眠れるサイズか)です。
あまり大きすぎると、設営の手間がかかります。さらに荷物も大きくなってしまうため、必要最小限にしたいところ。
夫婦と3歳児の3人だから小さめのテントでいいかな……と、つい簡単に考えてしまいがち。しかし、よいテントは4〜5年は持ちます。シームテープの張り替えなど修繕もするならそれ以上も可能です。
5年経てば子どもも大きくなりますし、もしかしたら第二子以降の出産もあるかもしれません。
子どもたちの成長と、家族計画を含めて、考えましょう。
②空間の広さ(天井の高さ)
テントの高さは、空間の広さに直結します。
天井が高いほど寛ぎやすく、天井が低いほど軽量で取り回しが楽、という特徴があります。
テント内をリビングのように使ったり、立ったまま着替えたりしたいのであれば、余裕のあるサイズで、天井の高いテントを選ぶと、快適です。
テントは寝室と割り切るのであれば、天井の低いテントのほうが、保管・設営・持ち運びなど様々な面で楽になります。
③防水性能(耐水圧)
キャンプを楽しんでいれば、必ず雨に降られてしまう場面があります。
悪天候時の安心感は、とても重要です。
テント内が濡れてしまう状況は、壁面の雨漏りや結露と、床(フロア)からの浸水の、2パターンあります。
ここで調べるべきは、テントごとに性能表示されている、「耐水圧」です。
たとえば、コールマンのハイエンド2ルーム「ウェザーマスター(R)ワイド2ルーム コクーンⅡ」の場合、
耐水圧:約3,000mm(フロア:約10,000mm)
と表示されています。
スタンダードな耐水圧は約2,000mm。これくらいあれば、大抵の状況には対応できます。
タープ選びの3つの検討ポイント
①形状(ヘキサ or スクエア)
タープには、主に2種類の形状があります。
ヘキサタープ
メリット
- 六角形でスタイリッシュ
- 三角屋根のように角度がついているため、風雨を避けやすい
- 風に強い(飛ばされにくい)
デメリット
- 有効面積が狭い
スクエアタープ
メリット
- 有効面積を広く取ることができ、大人数に対応可
デメリット
- 風が強いと風雨を避けにくい
- 強風に弱い(飛びやすい)
家族のみで使用する予定で、機能性を重視するならば、ヘキサタープ。仲間や友人とわいわいキャンプがしたいなら、スクエアタープを選ぶと良いでしょう。
②大きさ
タープは、テントほどサイズにバリエーションはなく、主に以下の3つに分類できます。
- ツーリングやトレッキング向き、ソロや2人までのコンパクトサイズ
- 家族キャンプなど、4〜5人向けミドルサイズ
- グループキャンプやイベントなど、大人数で使用するビッグサイズ
③遮光性能/防水性能(耐水圧)
タープは、キャンプにおける生命線とも言える、重要なキャンプギア。炎天下の直射日光や、風雨を避けるために欠かせません。
安価なタープも多数販売されていますが、性能が低ければ、充分に役目を果たせません。
タープだけは、安心や快適さを最優先に、高品質なギアの購入をおすすめします。
チェックすべきポイントは、遮光性能と、テントと同じく耐水圧です。
信頼できるメーカーの一例として、スノーピークの「HDタープ ヘキサ(M)」は、
シールド加工(遮光ピグメントPU)、耐水圧 3,000mm以上
コールマンの「ウェザーマスター(R)ヘキサタープII」は、
カラーPUコーティング、耐水圧 約3,000mm
となっています。
おすすめテント+タープ
必要充分な性能・機能があり、メンテナンスを怠らなければ5年〜使用できる可能性が高い、おすすめのテントとタープの組み合わせを紹介します。
1. タフワイドドームⅤ/300+XPヘキサタープ/MDXグリーン
空間の広いテントの代表格と言えば、コールマンのドームテントシリーズです。
- タフワイドドームⅤ/300…5〜6人用(4〜5人におすすめ)
- BCクロスドーム…4〜5人用(3〜4人におすすめ)
※スタートパッケージは、グランドシート(テントの下に敷く)と、インナーシート(テント内に敷く)がセットになっており、個別に購入するよりも安く済む、お得なパッケージです
室内空間は、大人の背たけほどの高さがあるため、圧迫感が少なく、テント内でもゆったり過ごしたい人におすすめです。
「XPヘキサタープ/MDXグリーン」と組み合わせて、性能は必要充分で、リーズナブルな価格帯のテント+タープセットになります。
最大のメリットであり、デメリットでもあるのが、日本で最も売れているテントシリーズである事実です。
キャンプ場のレンタル品は圧倒的に「タフワイドドーム」が多い傾向。レンタルで事前に設営の仕方を練習してみたり、快適さや大きさを確かめてから購入できます。
あちこちで最も目にするテントで、個性に乏しいのがデメリットです。
アメニティドームS [3人用]+HDタープ ヘキサ(M) [4人用]
ミニマリストで、スタイリッシュさを求める人におすすめなのが、スノーピークの名作テント「アメニティドーム」シリーズ。
天井を敢えて低く設計していて、横風に強く、デザインも秀逸。「テントは寝室」と割り切るのであれば、この価格帯では、最高の性能を持ったテントと言えます。
サイズ展開は3種類です。
- アメニティドームS…3人用
- アメニティドームM…5人用
- アメニティドームL…6人用
一方で、タープは、性能・デザインに定評のあるスノーピーク。入門クラスの「アメニティタープ」ではなく、ミドルクラスの「HDタープ」がおすすめ。
炎天下でも、どしゃ降りでも、ワンランク上の快適さが約束されます。
ウェザーマスター 2ルームシリーズ
5年〜しっかり使うつもりで、高額でもいいから、最高レベルの快適さと安心感がほしい、という人には、2ルームテントをおすすめします。
テント+タープが一体化したようなものです。タープ部分は空間になっています。フルクローズしてしまえば、横殴りの雨でもシャットアウトでき、安心感が断然違います。
中でも、最高レベルの素材・設計かつ、最高のコストパフォーマンスを誇るのが、コールマンのマスターシリーズの2ルームテントです。
- 4Sワイド2ルームコクーンⅢ…5〜6人用
- 4Sワイド2ルームカーブ…4〜5人用
※2020年に、ウェザーマスター(R)ワイド2ルーム コクーンⅡがリニューアルされ「4S ワイド2ルームコクーンIII」となりました。 コールマン2020年最新2ルームテント「4S ワイド2ルーム コクーン3」どこよりも詳しく解説!コクーン2とコクーン3の違いは?
同サイズで価格は一回り高額になりますがスノーピークや、キャンパルジャパン(ogawa)にも、高機能な2ルームテントがあります。
高品質な2ルームテントは、ほとんどインチキなほどの快適さがあります。しかし大きく、かさばる、というデメリットもあります。
まず、保管場所の検討が必要です。そして、雨の撤収を行った場合、濡れたテントをどこかで干して乾かす必要があります。通常マンション等ではかなり厳しいと予想されます。
テント購入は後回しでもいい
テントの購入優先順位は、実はそれほど高くありません。
なぜなら、近年はキャンプ場の多くで、レンタルを用意していて、借りられるからです。
レンタルで様々なテントを使ってみたり、他キャンパーのテントを見たりする中で、自分たちにあったスタイルが固まってくるという意味でも、迷うようなら、購入は後回しにする選択をおすすめします。
よくわからず買ってしまって、サイズが合わなかったり、性能が低すぎたりして、1年や2年で買い換えるハメになってしまったら、ちょっともったいないですよね。
テントを買う前に、マットやレインウェアのほうが、必要性は遙かに高いです。
一方で、タープは、早めに買ってしまってもいいでしょう。
先ほど紹介した、スノーピークの「HDヘキサ」以上のシリーズや、コールマンの「マスターシリーズ」であれば、悪天候時の安心感が大きく変わってきます。
必ず、よい品質のものを選びましょう。