キャンプのハイシーズンは夏。蚊に刺されて、痒い思いをする可能性も高まるため、虫よけが欠かせません。
特に子どもは、かゆみを我慢できず、掻き壊してしまって、皮膚に跡が残ってしまいます。なるべくなら蚊に刺されないように、対策をしたいところです。
年間30泊前後をテントで過ごしている経験から、確実に効く虫除けと、ほとんど効果のない虫除けを紹介します。
蚊取り線香は、ほぼ効果なしと見るべき
キャンプ・アウトドアの虫除けというと、よく見かけるのが、蚊取り線香です。煙がゆらゆら漂っているのを見ると、なんとなく効果がありそうな気がします。
が、蚊取り線香は、野外ではほとんど意味がありません。
実は、蚊取り線香は、煙そのものに殺虫・忌避効果があるわけではありません。
燃焼によって、ピレスロイドなどの有効成分が気化・拡散することによって、効果を発揮します。メーカーのホームページ等を確認すれば、しっかりと記載があります。
つまり、仕組みとしては、蚊取りマットや蚊取りリキッドとまったく同じです。
ですから、蚊取り線香も、室内など密閉空間であれば効果的。しかし空気の流れがあり、どこまでも拡散してしまう屋外では、非効率的なのです。
中には、屋外用とうたう蚊取り線香もあります。
こちらは効果があるとの話もあるようですが、煙の量が多く、臭いも強烈とのこと。
「蚊取り線香の煙が好き」「夏らしくていいよね」
そんな方は、試してみてもいいでしょう。
私は、蚊取り線香の煙で、喉が痛くなる体質のため、効果を確認できていません。
長袖・長ズボン+虫よけ(ディート)噴霧がベスト
我が家の場合、夏場は、1週間〜10日間ほどキャンプ場に滞在するケースがあります。
すると、それほど蚊のいない環境でも、1日1日、刺される箇所が増えていきます。終盤は、まるで水疱瘡にでもかかったかのように、大変な皮膚状態になります。
これは何とかしないといけない。そこで、蚊取り線香はもちろん、虫よけパッチ、虫よけリング、ハーブなど様々に試しました。
検討した結果、
「夏でも長袖・長ズボンを着用し、露出部分に虫よけ(ディート)を噴霧するのが、もっとも効果があり、効率的」
との結論に達しました。
長袖は、夏でも涼しい速乾素材のもの。長ズボンも同じく薄手のアウトドア用、トレッキング用が使い勝手がよいです。
また、露出を少なくすることで、虫よけの使用量を少なくできるメリットもあります。
なお、薄すぎる服や、トレッキング用タイツ等は、生地の上からでも蚊に刺されます。
こういうときは、衣服の上から虫よけ(ディート)を噴霧しましょう。
肌に直に虫よけ(ディート)を噴霧しなくて済みます。同時に、高いUVカット効果や、かぶれ、擦り傷等の防止に一定の効果もあります。素肌に比べて多くのメリットがあります。
皮膚に薬を塗るのは嫌?トレードオフで考える
虫よけ(ディート)については、説明が必要でしょう。
皮膚に直接噴霧するタイプの虫よけは、あまり身体に良さそうなイメージがありません。実際、私も、数年前までは、敬遠していました。
ただ、ディート以外の方法では、子どもたちがどんどん蚊に刺されてしまいます。腕や脚が掻き壊した跡だらけになっていってしまう。ですので、トレードオフで考える必要があります。
たとえばディートが気にならない方は、半袖・半ズボンで、虫よけの使用量を増やしてもいいでしょう。逆に、ディートを使うよりは子どもが蚊に刺されるほうがマシ、という考え方もあるかもしれません。
なお、ディートの安全性については、何十年も日常的に使用されてきた経過や、諸外国の状況を見て、常識的な範囲の使用であれば、副作用はない、というのが一般的な結論のようです。各自で、責任を持って判断してください。
ディートは殺虫剤ではありません。蚊のセンサーを狂わせ、血を吸える肌の所在をわからなくさせることにより、忌避効果を発揮するタイプの薬剤です。
以下、おすすめの虫よけを紹介します。
最強の虫よけ「サラテクト リッチリッチ30」※12歳以上
様々な虫除けを試して、最終的に辿り着いたのが、アース製薬の「サラテクト リッチリッチ30」シリーズです。
これは、虫よけ成分であるディートを、認可最高濃度である30%配合している、シリーズ最強の虫よけです。
「サラテクト リッチリッチ30」を使うようになってから、ほぼ100%と言っていいくらい、刺されなくなりました。
なお、ディートの濃度が高いため、
「12歳未満には使用しないでください」
との注意書きがあります。
対象害虫は、
- 蚊
- ブユ(ブヨ)
- アブ
- ノミ
- イエダニ
- マダニ
- サシバエ
- トコジラミ(ナンキンムシ)
- ツツガムシ
と、広範囲をカバーします。
ディート濃度10%程度の子ども向け虫よけ
12歳未満には、ディート濃度12%以下が推奨されています。
基本的には、ディート濃度で、忌避性能が決まります。
ディート濃度が同等なら、製品ごとの違いは誤差です。好みの製品を選んでください。
パッケージに必ずディート濃度が記載されています。
テント内で蚊に刺されない方法
テント内に蚊が入ってしまう場合にも、おすすめの製品があります。KINCHOの「蚊がいなくなるスプレー」が、非常によく効きます。
その効果は、自宅でも使用すると、床に蚊がポロポロ落ちているのが確認できるほど。
また、
“ワンプッシュで効果が12時間続く”
と、うたうとおり、ワンプッシュで一晩は効きます。
たとえば私の娘は、特異的に蚊に刺される体質。同じ部屋で眠っていて、他の誰も刺されず「蚊なんかいる?」という状況で、娘だけ何カ所も刺されるほど。
しかし「蚊がいなくなるスプレー」を忘れなければ、刺されなくなりました。
成分は、トランスフルトリン(蚊取り線香と同じピレスロイド系)。
あまりに効き過ぎるので、人体への害が心配になりますよね。しかし、虫に特異的に作用する薬剤であり、通常の用法であれば副作用はないとされています。
小さすぎるテントには非推奨
なお、「蚊がいなくなるスプレー」は、室内用に作られています。テント内で使用する際には、いくつか注意点があります。
まず “4.5〜8畳にワンプッシュ” で設計されています。ソロテントあまりに小さすぎるテントの場合は、薬剤過剰になる可能性があります。
ゆったり設計のファミリーテントであれば、問題はないだろうと考えられます。たとえば、コールマンのタフワイドドームⅤ。300 × 300cmで4畳半以上の面積となり、天井も高めで空間が広いテントです。
また、体質によっては、トランスフルトリンに粘膜を刺激されるケースがあります。くしゃみが出たり、目や喉に違和感を覚えることがあります。就寝直前にスプレーするのはおすすめできません。
「蚊がいなくなるスプレー」は、壁や天井に付着して効果を発揮するタイプ。ざっと換気するくらいであれば、効果は続きます。夕方などにスプレーして、かるく換気しておくのが安心です。